モリブデン(Mo)は、ギリシア語で鉛を意味する金属のミネラルです。以前は鉛色をした鉱石の総称だったからです。

モリブデンは耐熱性や耐腐食性にすぐれているため、鉄などほかの金属と混ぜ合わせて合金にしたり、さまざまな機械や電子部品に使用されています。

生物にとってもモリブデンは、不可欠なミネラルです。特に植物(マメ科植物の根粒菌など)において、空気中の窒素を肥料となるアンモニアにするために必要な酵素(ニトロゲナーゼ)の構成成分になっています。

人体には約5mg含まれています。通常の食生活では、欠乏症や過剰症になることはほとんどありません。

食物から摂取したモリブデンは胃腸で吸収され、そのうちの3分の1は肝臓に蓄積され、3分の1は腎臓などほかの臓器へ、残りはすぐに排出されます。

人体でのモリブデンの重要な役割は、体内の老廃物をつくったり、有害物を分解する酵素の構成成分になっていることです。

具体的には、尿の成分である尿酸をつくる酵素(キサンチンオキシダーゼ)や、人体に有害なアルデヒド(たとえばアルコールを飲むとアセトアルデヒドがつくられ、二日酔いの原因になる)を分解する酵素(アルデヒドオキシダーゼ)、同様に人体にとって有害な亜硫酸イオン(大気汚染の原因物質)を毒性の低い硫酸イオンにする酵素(亜硫酸オキシダーゼ)などがあります。

また、鉄の利用を高めるなど造血作用にも関係があります。

セレンを含むおもな食品については、下の表のとおりです。 セレンは、土壌で生産される植物性食品にはあまり含まれていません。

主食のこめ(精白米)では100gあたり4μg、食パンは6μgです。

セレンの豊富な食品は、魚介類、肉類、藻類です。これらは表に挙げた食品以外でも、ほとんどが多くのセレンを含んでいます。

具体例をいくっか挙げれば、以下100gあたり魚介類では、さんま47μg、まいわし52μg、あさり86μg、かっお130μgなど。藻類では、あおのり47μg、わかめ(素干し)49μgなどです。

肉類では、ぶた(かた脂身つき 生)23μg、うし(ローストビーフ)43μg、にわとり(もも皮っき生)43μg、うし(肝臓生)57μgなど。卵黄(生)も豊富で、93μg含まれています。 

セレンを1日にどのくらい食事から摂ればよいのかを示した食事摂取基準は、下の表のとおりです。表のようにセレンの摂取基準には推定平均必要量と推奨量、耐要上限量が設定されています。推定平均必要量は、ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量です。

推奨量は、ある母集団のほとんどの人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量です。 18歳以上の男性で1日あたりの推奨量は30μg、女性で25μgになっています。妊婦はこれに+5μg、授乳婦は+20μgです。

日本人のセレン摂取量は1日あたり約100μgだと推定されているので、必要量を満たしています。

耐要上限量とは、ほとんどすべての人々が健康障害をもたらす危険がないと見なされる習慣的な摂取量の上限量のことです。 18歳以上の男性で260μg~300μg、女性で210μg~230μgが耐要上限量になっています。

推奨量と耐要上限量の間は差があるように見えますが、どちらもごく微量な単位なので見た目ほどの差はありません。

セレンはもともと毒性の強いミネラルです。セレンがガンの予防によいなどの理由で、サプリメントから摂取すると、すぐに過剰になってしまう可能性があるので注意が必要です。