セレンを含むおもな食品については、下の表のとおりです。 セレンは、土壌で生産される植物性食品にはあまり含まれていません。
主食のこめ(精白米)では100gあたり4μg、食パンは6μgです。
セレンの豊富な食品は、魚介類、肉類、藻類です。これらは表に挙げた食品以外でも、ほとんどが多くのセレンを含んでいます。
具体例をいくっか挙げれば、以下100gあたり魚介類では、さんま47μg、まいわし52μg、あさり86μg、かっお130μgなど。藻類では、あおのり47μg、わかめ(素干し)49μgなどです。
肉類では、ぶた(かた脂身つき 生)23μg、うし(ローストビーフ)43μg、にわとり(もも皮っき生)43μg、うし(肝臓生)57μgなど。卵黄(生)も豊富で、93μg含まれています。
セレンを1日にどのくらい食事から摂ればよいのかを示した食事摂取基準は、下の表のとおりです。表のようにセレンの摂取基準には推定平均必要量と推奨量、耐要上限量が設定されています。推定平均必要量は、ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量です。
推奨量は、ある母集団のほとんどの人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量です。 18歳以上の男性で1日あたりの推奨量は30μg、女性で25μgになっています。妊婦はこれに+5μg、授乳婦は+20μgです。
日本人のセレン摂取量は1日あたり約100μgだと推定されているので、必要量を満たしています。
耐要上限量とは、ほとんどすべての人々が健康障害をもたらす危険がないと見なされる習慣的な摂取量の上限量のことです。 18歳以上の男性で260μg~300μg、女性で210μg~230μgが耐要上限量になっています。
推奨量と耐要上限量の間は差があるように見えますが、どちらもごく微量な単位なので見た目ほどの差はありません。
セレンはもともと毒性の強いミネラルです。セレンがガンの予防によいなどの理由で、サプリメントから摂取すると、すぐに過剰になってしまう可能性があるので注意が必要です。
セレンは体内の活性酸素や過酸化物を分解する作用を助ける働きがあります。そのため、セレンが欠乏したときの症状は、そのほとんどが酸化ストレスによるものです。過酸化物の増加により、体内の細胞や組織が損傷することで、さまざまな傷害が起きるのです。具体的には、ガンになりやすくなったり、免疫力の低下から細菌やウイルスに感染しやすくなります。
セレン欠乏のラットの肝臓が壊死したことでセレンが動物にとって必要なミネラルであることがわかりました。これはセレンが欠乏したことで過酸化物が増加し、鉄の輸送タンパク質を破壊したため肝臓に鉄が過剰に蓄積したことが原因だと推測されています。
ヒトに対するセレン欠乏症として有名なのは、中国東北部の風土病である克山(ケシャン)病とカシンーベック病です。
克山病は子供や妊婦などが慢性の心筋傷害になるもので、カシンーペック病は、背が伸びなくなったり、骨が曲がったりするものです。これらは、この地域の上壌が低セレンだったため、植物性の食物からの摂取が少なかったことが原因ですが、セレン欠乏にほかの要因が重なったためとする考えもあります。
低セレン地域の家畜(ウシ、ヒツジ、ウマ)にも、白筋病と呼ばれるセレン欠乏症が起きています。これは過酸化物質が蓄積することで細胞が壊死してしまうというものです。
セレンは、抗酸化作用として体内の活性酸素や過酸化脂質を分解するうえで重要な働きをしています。
体内にある活性酸素は、細胞膜などの脂質を酸化させ、有害な過酸化脂質に変化させます。こうした過酸化物は、体内のほかの細胞や組織に損傷を与え、ガン化や老化を促進します。こうした過酸化物による体内への悪影響を酸化ストレスといいます。
セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素の構成成分です。グルタチオンペルオキシダーゼは、活性酸素や過酸化脂質を分解する酵素であるグルタチオンの反応を助け、促進する働きがあります。その結果、セレンが不足していると、グルタチオンペルオキシダーゼが上分に生成されず、グルタチオンの働きが弱まり、体内の活性酸素や過酸化物が増加してしまうのです。
セレン(Se)は、ギリシア語の月を意味する半金属のミネラルです。半金属とは、金属と非金属の中間的な性質をもつもののことです。セレニウムと呼ばれることもあります。
金属のセレンに光を当てると電気を通すようになるため、光電装置などの半導体やコピー機などに使用されています。また、ガラスの脱色や着色剤としても利用されています。
セレンは当初、毒物と見なされていましたが、セレンが欠乏したラットの肝臓が壊死することから、動物にとって必要なミネラルであることがわかりました。その後、セレンは人体においても重要な働きをしていることがわかってきたものの、毒性が強く、必要量と中毒量が非常に近いため、サプリメントなどによるセレン摂取には注意が必要です。
セレンは体内に体重70kgの人で、約12mg含まれています。おもに酵素の構成成分として、肝臓や胃、血液中などのほか、体内に広く分布しています。
セレンはビタミンEと同様の働きをしていることが知られています。特に抗酸化作用にすぐれ、体内の活性酸素や過酸化脂質を分解する役割をしています。そのため、ガンの抑制や老化防止になると注目されているのです。