ミネラルは通常の食事から常に必要量を摂取していないと、身体を健康に保つことができません。逆に必要量以上を摂取しすぎても過剰症になります。
このため厚生労働省では、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、ミネラルなど各栄養素の摂取量の基準を「日本人の食事摂取基準」として示しています。これはそれまで「日本人の栄養所要量」として示されていたものです。
2009年にまとめられ、2010年度から2014年度までの5年間使用する『日本人の食事摂取基準(2010年版)』をもとにミネラルの摂取量を掲載しています。
『日本人の食事摂取基準(2010年版)』では、以下の13種類のミネラルについて1日に必要な摂取量の基準を定めています。
カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、クロム
身体に必要だからといって、ミネラルをどれもこれも大量に摂るのはよくありません。適量以上を摂っていると過剰症になり、さまざまな障害があらわれます。特に、摂りすぎに注意が必要なミネラルには、リンやナトリウム、塩素があります。
リンは食品添加物としてインスタント食品や加工食品に含まれているため、こうしたものばかり摂っていると過剰になりがちです。リンが過剰になると、骨が弱くなったり、腎臓障害になる可能性があります。
酵素とは体内でさまざまな化学反応を促進させる働きをするタンパク質のことです。 ミネラルは酵素の構成成分になったり、酵素の働きを助けています。
たとえば胃液に含まれている消化酵素のペプシンは、食物にあるタンパク質を消化分解する作用があります。
こうした化学反応を試験管の中などで人工的に行おうとすると、熱などのエネルギーや長い時間がかかり、簡単にはできません。
酵素がすぐれている点は、酵素自身は変化することなく、そうした化学反応に必要なエネルギー(活性化エネルギー)を少なくし、
反応速度を著しく早める作用があることです。このような作用のことを触媒作用といいます。
体内では、各種の酵素が働き合うことで、人工的には困難な複雑な化学反応を、いとも簡単に実施しているのです。
また、酵素自身は変化しないので、少ない量でも繰り返し働くことができます。
ミネラルはヒトの身体を構成する成分の約4%にすぎないものの、非常に重要な役割をしています。
ミネラル以外のほかの栄養素である、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンだけを摂取しても、ミネラルがなければ、それらがうまく働くことはできません。また、体内の代謝活動や化学反応はもとより身体を正常に維持していくために、欠かすことのできないものです。
たとえば、ミネラルの役割の1つに、身体や組織の構成成分になることがあります。
ミネラルの分類の仕方にはもう1つ、ヒトの生命維持にとって必要かどうかで分ける方法があります。
ヒトの生命維持に必要不可欠なミネラルのことを必須ミネラルといいます。必須ミネラルとは、そのミネラルが不足したときに、なんらかの障害(欠乏症)が発生するミネラルのことです。
また、ヒトにとっては必須ミネラルであるかどうかがまだ不明なものの、ほかの動物では必須ミネラルであることがわかっているものも、ヒトにとって必要なミネラルなのではないかと推測することができます。とはいえ、確実にヒトにとっても必要なものかどうかは、まだ不明なものも多くあります。そのため、今後の研究次第では、新たな必須ミネラルが明らかになる可能性もあるのです。
ミネラルの分類の仕方には、次の3つの方法があります。
金属というと、身体とあまり関係がないような印象がありますが、ミネラルのほとんどは金属です。
そもそも金属とは、一般的に常温では固体の物質で、光沢があり、熱や電気をよく伝え、薄く広げたり(展性)、長く延ばしたり(延性)できる性質をもったもののことです。
おもなミネラルのうち金属でないものには、リン、硫黄、塩素、ヨウ素などがあり、ほかは金属です。そして、身体に必要な金属のことを生体金属元素と呼んでいます。
ミネラルを体内に存在している量で分類すると、身体を構成している元素の割合により、大きく次の4つに分けることができます。
ヒトの身体に必要な栄養素には、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5つがあり、これらを5大栄養素といいます。 このなかで、ビタミンとミネラルをほとんど同じものだと思っている人もいますが、これらはまったく別のものです。
ビタミンとミネラルのもっとも大きな違いは、その姿形です。
ビタミンは有機化合物(炭素原子を基本にもつ化合物)ですが、ミネラルは前述したようにカルシウム(Ca)や鉄(Fe)など単体の元素そのもののことです。
ヒトの身体を構成している成分には、水分、タンパク質、脂質(中性脂肪など油に溶ける物質のこと)、炭水化物(糖類のこと)、無機質(ミネラル)などがあります。
これらの体重に占める割合は、性別や年齢、体型、栄養状態などにより個人差があるものの、だいたい決まっています。
もっとも多いのは水分で、成人で体重の約50%~65%を占めています。
水分の占める割合は赤ちゃんのときがもっとも多く、体重の75%が水分です。その後、年齢とともに水分の占める割合は減少していき、70歳以上では約50%~55%になります。