リンを多く含む食品には、乳類、魚介類、豆類、卵類などがあります。特に牛乳やチーズなどの乳類は、カルシウムとのバランスもよく、毎日摂りやすい食品です。
牛乳コップ1杯(180g)で167mg(カルシウムは同198mg)、ヨーグルト(100g)で100mg(カルシウムは同120mg)、プロセスチーズ1切れ(20g)で146mg(カルシウムは同126mg)の含有量があります。
リンもカルシウムと同じように魚介類でも豊富です。たとえば、かたくちいわしの煮干し(100g)の1500mgをはじめ、たたみいわし、するめ、しらす干しなどです。
また、豆類にもカルシウムとともにリンが豊富です。大豆(国産)には100gあたり580mgのリンがあります。このためだいずを原料にした豆腐、納豆、油揚げなどもリンを多く含む食品です。
そのほかの豆類としては、いんげんまめ、えんどう、そらまめなどです。
卵の卵黄にもリンがたくさん含まれています。
リンを1日にどのくらい食事から摂ればよいのかを示した食事摂取基準は、下記の表のとおりです。表のようにリンの摂取基準には、目安量と耐要上限量が設定されています。
目安量は、特定の集団の人々がある一定の栄養状態を維持するのに十分な量です。
男性では、骨密度が増加する8歳~17歳の時期に、目安量で1100mg~1200mgともっとも多く摂取する必要があります。女性でも同様に8歳~17歳の時期に目安量で1000mg~1100mgともっとも多く摂取する必要があります。
とはいえ、前述したように、リンは通常の食事をしていれば不足することは、まずありません。逆に過剰摂取をしないように、注意する必要があります。
耐要上限量とは、ほとんどすべての人々が健康障害をもたらす危険がないと見なされる習慣的な摂取量の上限量のことです。18歳以上の男女ともに3000mgが耐要上限量になっています。
リンとカルシウムは、バランスよく摂る必要があります。リンをカルシウムの2倍以上摂取しないようにするのが理想です。
しかし、日本人はリンの含有量が多い穀類を主食にし、インスタント食品など加工食品にも食品添加物としてリンが多く使用されているため、どうしてもリンを過剰に摂取する傾向があります。カルシウム摂取量の3倍のリンを摂るケースも増えているようです。
乳製品など、カルシウムとリンの含有量のバランスのよい食品を積極的に摂るのも効果的です。
リンは生物のエネルギー源になっているATP(アデノシン三リン酸)の構成成分です。
ATPは高エネルギーリン酸化合物の一種で、塩基のアデニンと糖(リボース)、3分子のリン酸で構成されています。生命活動をするためには、なんらかのかたちでエネルギーを蓄え、いつでも利用できるようにしておく必要があります。それがATPというわけです。
ATPは細胞中にあるミトコンドリアでつくられます。食物から摂取した糖や脂質などが酸化されるときにADP(アデノシンニリン酸)がリン酸化されてATPとなり、エネルギーが貯蔵されるのです。
ATPに蓄えられたエネルギーは、生命活動に必要なさまざまなエネルギー源として利用されています。たとえば、筋肉はATPがADPとリン酸に分解されるときに放出されるエネルギーにより収希します。そのためATPは筋肉内に特に多く存在しています。
また、生体内での化学反応にもATPのエネルギーが利用されています。ちなみに、デンキウナギの発電やホタルなどの発光生物の発光のエネルギーにもATPが使われています。
このように、化学エネルギーとしてATPの中に貯蔵されたエネルギーが、電気や光などほかのエネルギーに変換されているのです。
リンが生命活動にとって必要不可欠なミネラルである理由の1つは、リンがDNAやRNAの成分になっているからです。
DNA(デオキシリボ核酸)は、遺伝子の本体といわれているもので、塩基、糖、リン酸からできています。そして、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の塩基配列によって、遺伝情報を伝えています。
RNA(リボ核酸)も、塩基、糖、リン酸からできており、タンパク質を合成するための情報をDNAから受け取り、それを伝えるメッセンジャーの役割と、タンパク質をつくる部品であるアミノ酸を運搬する役割をしています。
リン(P)は体重の約1%と、カルシウムに次いで2番目に多い非金属のミネラルです。
体内にあるリンの80%以上は、カルシウムやマグネシウムとともにリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとして骨や歯の成分になっています。残りの約20%は、体全体に分布して、生命活動にとって非常に重要な役割をしています。
リンは骨や歯の主成分になるだけでなく、リン脂質として、細胞膜や細胞を構成する小器官である核、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体など生休膜の主成分になっています。
また、リンは遺伝子の本体であるDNAや、タンパク質の合成などにかかわっているRNAの成分になっています。
さらに生物にとってエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の成分として、なくてはならない存在です。
そのほか、体内のpH(酸性・アルカリ性)の調整、脂質や糖質の代謝を助けるなど各種酵素の成分にもなっています。
リンはおもに小腸で吸収され、カルシウムと結合し、骨や歯の主成分になりますが、カルシウムと同じように血液中の濃度が常に一定になるように調節されています。
リンは多くの食品に含まれているため、通常の食事をしているかぎり、不足することはありません。特に加工食品などに食品添加物として多く使用されているので、むしろリンを摂りすぎないよう気をつける必要があります。リンの摂りすぎは、カルシウムの吸収を阻害する可能性があるからです。