銅を含む代表的な食品

銅は通常の食事から必要量を十分に摂取しています。

日本人の場合、おもに主食となる穀類から銅を摂取しています。100gあたりのこめ(精白米)には0.1mg、食パンには0.11mgの銅が含まれています。

銅は肝臓に貯蔵されるので、肉類ではうしやぶたの肝臓に豊富です。うしの肝臓(生)には100gあたり5.3mg、ぶたの肝臓(生)には0.99mgの銅があります。

また、タコ、イカなどの軟体動物や、カニ、エビなどの甲殻類の血液中には銅を含んだヘモシアニンがあるので、銅摂取には非常によい食品です。 100gあたりの含有量は、ほたるいか(生)で3.42mg、いいだこ(生)では2.96mgです。

そのほか、銅の含有量が多い食品としては、豆類、種実類などがあります。 100gあたりの含有量は、そらまめ(全粒乾)で1.20mg、カシューナッツ(フライ味付け)で1.89mgです。

卵黄(100gあたり0.2mg)やピュアココア(100gあたり3.8mg)も、比較的銅の含有量が多い食品です。

ちなみにビタミンC(アスコルビン酸)や大量の2価鉄、スズは、銅の吸収を阻害します。


銅を1日にどのくらい食事から摂ればよいのか

銅を1日にどのくらい食事から摂ればよいのかを示した食事摂取基準は、下記の表のとおりです。表のように銅の摂取基準には推定平均必要量と推奨量、耐要上限量が設定されています。

推定平均必要量は、ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量です。推奨量は、ある母集団のほとんどの人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量です。

できれば推奨量程度の銅を摂取していればだいじょうぶだということです。成人の男性で1日あたりの推奨量は0.9mg、女性で0.7mgになっています。妊婦はこれに+0.1mg、授乳婦は+0.6mgです。

厚生労働省による国民健康・栄養調査(平成20年)によれば、成人の場合、男性は1日平均1.30mg、女性は1.11mgの銅を食事から摂取しています。このことから通常の食事だけで銅の推奨量を十分に満たしていることがわかります。

耐要上限量とは、はとんどすべての人々が健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限量のことです。

男女ともに1日あたり10mgが耐要上限量になっています。通常の食事で銅を過剰に摂取することはありません。過剰になるのは銅を含んだ薬などを摂取した場合です。 


銅が不足したときの症状

銅はメラニン色素をつくる働きもあるため、不足すると髪の毛や皮膚の色が薄くなります。

先天的に銅が欠乏する病気にメンケス病があります。遺伝病の一種で、消化管に取り込まれた銅を肝臓などへ移動させるタンパク質がないため、全身へ銅が運搬されず、銅不足になるのです。

メンケス病になると、頭髪が脱色し、縮れ毛になります。また、銅不足によるさまざまな障害が発生します。

通常の食事により銅が不足することはほとんどありませんが、銅が不足すると、髪の毛や皮膚の脱色のほかにも次のような障害があらわれます。

貧血、骨への異常(骨そしょう症)、成長障害、食欲不振、胎児の脳への障害、神経障害(うつ)、免疫機能の低下、不妊症、心臓の異常(不整脈、心筋視塞)などです。

逆に、銅が過剰になる先天的な遺伝病にウィルソン病があります。これは肝臓に蓄積された銅を全身へ運搬するタンパク質がないため、銅が肝臓から排出されないまま過剰に蓄積されてしまタのです。その結果、肝硬変などの肝臓障害を起こします。また、角膜にも銅が蓄積され、眼球に緑や茶色のリングができます。

通常の食生活で銅が過剰になることはありません。銅は毒性が弱いミネラルなので、銅による慢性的な障害はほとんど報告されていません。

ただし、銅を含んだ薬剤を過剰に摂取したことによる急性中毒では、金属味がしたり、腹痛、嘔吐、下痢、溶血性貧血などの症状があらわれ、死亡することもあります。


緑青は猛毒ではない!?

銅のさびのー種である緑青は、猛毒だと教えられた人も多いと思います。確かに緑青は見た感じ、いかにも毒がありそうな色をしています。しかし最近の研究結果によれば、緑青に有毒性はほとんどないことがわかってきました。

社団法人日本銅センターが東京大学医学部に依頼して研究した結果、さらに厚生労働省の研究結果により、1984年、緑青には有毒性のないことが明らかになりました。

緑青の主成分は塩基性炭酸銅や塩基性硫酸銅などで、大気中の2酸化炭素や二酸化硫黄が反応したものです。

どうして、緑青が猛毒であるといった先入観が生まれたのかについてもよくわかっていません。昔、銅の精錬技術が未熟だったころ、銅の中に毒性のある不純物が混じったことによるため、または見た目の印象から毒だと思われていたらしいのです。

もともと銅自体も有毒性の少ない金属です。逆に銅には抗笑作用があります。

銅が主成分の10円玉は、いかにも雑菌がたくさん付着しているような気がします。ところが、銅の抗菌作用のため、ほとんど無菌なのです。

銅以外に抗菌作用の強い金属としては、銀、白金、金、鉛などかあります。 


銅と鉄との関係 

体内にある銅は、鉄と密接に関係した働きをしています。

鉄は、三価鉄より2価鉄のほうが効率的に吸収できます。銅は三価鉄を還元し2価鉄にすることで、鉄の吸収を助けています。

そして、体内の鉄はフェリチンという鉄貯蔵タンパク質と結合して蓄えられますが、フェリチンから鉄を遊離させ、鉄を輸送するタンパク質であるトランスフェリンに受け渡すにも、銅が必要なのです。

さらにヘムタンパク質が鉄と結合し、ヘモグロビンがつくられる際にも銅が関係しています。

以上のことからもわかるように、銅は鉄の吸収、運搬、ヘモグロビンの生成などになくてはならないミネラルなのです。

その結果、銅が不足すると鉄が不足することになり、ヘモグロビンの生成もうまくいかなくなり、貧血になるのです。

逆に鉄分を多く摂取しすぎると、銅の吸収を阻害します。 


銅(Cu)の役割

銅(Cu)は成人の体内に約80mg~100mg含まれている金属のミネラルです。人類の歴史から見ても、古くから使用されているなじみの深い金属だといえます。

体内で銅がもっとも多く含まれているのは骨格で、次いで、筋肉、肝臓、脳、血液、皮膚、腎臓などの順になっています。ただし食べ物から摂取した銅は、いったん肝臓や腎臓へ行き、そこから全身へ運ばれていくため、肝臓と腎臓の銅濃度はほかの組織よりも高くなっています。体内にある銅のほとんどはタンパク質と結合し、酸化反応などの酵素の構成成分として働いています。

また、銅は鉄との関係も深く、鉄分の吸収や輸送、代謝になくてはならない存在です。鉄分が不足すると貧血になりますが、実は銅が不足しても鉄分の吸収やヘモグロビンの生成がうまくいかなくなり、貧血になってしまいます。

銅は髪や皮膚にあるメラニンの生成にも関与しています。そのため銅が不足すると、髪や皮膚の色が薄くなります。骨や皮膚を構成するタンパク質であるコラーゲンを結びつけ、強度を維持する働きもしています。

そのほか、銅のおもな役割としては、エネルギーの合成、活性酸素の除去、免疫機能の維持、糖やコレステロールの代謝機能、血液凝固の促進、神経伝達物質の生成、生殖機能の維持などがあります。

ちなみに、タコやイカ、エビなどの血液は青色をしています、これらの生物は、酸素を運搬するヘモグロビンの代わりにヘモシアニンという銅と結合したタンパク質をもっています。ヘモシアニン自体は無色ですが、酸素と結合することで青色になるため、タコやイカの血液は青色をしているのです。


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