ヨウ素を豊富に含んでいる食品の代表は、藻類や魚介類などの海産物です。具体的には、100gあたり、こんぶ131000μg、わかめ7790μg、あまのり6100μgと、ほかの食品と比較しても圧倒的に多いことがわかります。
魚介類にも多く、100gあたり、いわし268μg、さば248μg、かつお198μgです。
日本人は比較的多くの海産物を日常摂取しているので、ヨウ素不足になることはありません。逆に過剰にならないよう注意する必要があります。
そのほか、パターには100gあたり62μg、卵黄には48μgと比較的多くのヨウ素が含まれています。
前述したようにキャベツやサッマイモ、だいずなどには、ヨウ素の蓄積を阻害するゴイトロゲンという成分が含まれていますが、バランスのよい食事を摂っていれば、こうしたことはあまり心配することはありません。
ヨウ素を1日にどのくらい食事から摂ればよいのかを示した食事摂取基準は、下記の表のとおりです。表のようにヨウ素の摂取基準には、推定平均必要量と推奨量、耐要上限量が設定されています。
推定平均必要量は、ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量です。推奨量は、ある母集団のはとんどの人が1日の必要量を満たすと推定される摂取量です、表には載せていませんが、妊婦ではこの推奨量に+110μg、授乳婦は+140μg付加したものになります。
注意してほしいのは単位がμg(マイクログラムバこなっていることです。1μg=1gの100万分の1、1mgの1000分の1です。
これまでのミネラルはmg単位だったので、その1000分の1になったということです。
1日あたりの推奨量は、18歳以上の男女ともに130μgになっています。
耐要上限量とは、ほとんどすべての人々が健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限量のことです。 18 歳以上の男女ともに2200μgが耐要上限量になっています。
日本人のヨウ素摂取量は1日あたり平均1500μgと推定されているので、推奨量を十分満たしています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主成分なので、ヨウ素が不足すると甲状腺ホルモンが生成できなくなります。
その結果、甲状腺刺激ホルモンの分泌が増加し、甲状腺が発達し肥大化していきます。このように甲状腺が肥大化する症状のことを甲状腺腫といいます。
こうしてヨウ素不足になり、甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、成長障害、精神発達の遅れ、体力低下、肥満、脱毛、肌荒れなどになります。
母親がヨウ素欠乏になると、生まれた子供も欠乏症になるクレチレ症は、子供の発育不全や精神障害を発生させます。
世界的にはヨウ素が不足しがちな地域もありますが、海産物の摂取が多い日本などや、ヨウ素を含むサプリメントなどを必要以上に摂取すると、ヨウ素が過剰になる場合もあります。
ヨウ素を摂りすぎても、甲状腺が肥大化する甲状腺腫になります。また、甲状腺機能宜進症(バセドウ病)にもなります。
パセドウ病は甲状腺ホルモンの過剰分泌などにより起こるもので、眼球が突出してきたり、手指のふるえ、動悸、発汗、精神的不安定などの症状があらわれます。
ちなみに、キャベツ、トウモロコシ、タケノコ、サツマイモ、たいず、キャッサパなどに含まれているゴイトロゲンという成分は、ヨウ素の蓄積を阻害する作用があります。
また、セレンが欠乏しても甲状腺ホルモンがうまく働かないて能性があると考えられています。
ヨウ素(I)はヨードとも呼ばれる非金属のミネラルです。液体でか褐色、気体で紫色をしています。
ヨウ素とデンプンが反応して青紫色になるヨウ素デンプン反応は、小学校の理科でも習います。ヨードチンキの成分として消毒薬としてもおなじみです。
ヨウ素は海藻から火薬を取りだす過程で、偶然発見されました。気体が紫色をしていることから、ギリシア語で「すみれ色(iodes)」を意味する言葉にちなんで命名されました。
ヒトの体内には15mg~20mg含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分なので、そのほとんどがアゴの両側の甲状腺にあります。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンには、チロキシン(サイロキシン)とトリヨードチロニン(トリヨードサイロニン)があります。
これら甲状腺ホルモンは、糖質や脂質、タンパク質の代謝、およびエネルギー代謝に深く関係しています。特に成長期の子供には不可欠のミネラルです。
ヨウ素は藻類など海産物に豊富に含まれているミネラルのため、日本のように海産物の摂取量が多い国では欠乏することはほとんどありませんが、内陸部などヨウ素の含有量が少ない土地では、世界的にヨウ素欠乏症が多く発生しています。
こうした地域では、食塩にヨウ素を添加するなどして不足を補う対策がとられています。