モリブデン(Mo)は、ギリシア語で鉛を意味する金属のミネラルです。以前は鉛色をした鉱石の総称だったからです。
モリブデンは耐熱性や耐腐食性にすぐれているため、鉄などほかの金属と混ぜ合わせて合金にしたり、さまざまな機械や電子部品に使用されています。
生物にとってもモリブデンは、不可欠なミネラルです。特に植物(マメ科植物の根粒菌など)において、空気中の窒素を肥料となるアンモニアにするために必要な酵素(ニトロゲナーゼ)の構成成分になっています。
人体には約5mg含まれています。通常の食生活では、欠乏症や過剰症になることはほとんどありません。
食物から摂取したモリブデンは胃腸で吸収され、そのうちの3分の1は肝臓に蓄積され、3分の1は腎臓などほかの臓器へ、残りはすぐに排出されます。
人体でのモリブデンの重要な役割は、体内の老廃物をつくったり、有害物を分解する酵素の構成成分になっていることです。
具体的には、尿の成分である尿酸をつくる酵素(キサンチンオキシダーゼ)や、人体に有害なアルデヒド(たとえばアルコールを飲むとアセトアルデヒドがつくられ、二日酔いの原因になる)を分解する酵素(アルデヒドオキシダーゼ)、同様に人体にとって有害な亜硫酸イオン(大気汚染の原因物質)を毒性の低い硫酸イオンにする酵素(亜硫酸オキシダーゼ)などがあります。
また、鉄の利用を高めるなど造血作用にも関係があります。
↓
キサンチンオキシダーゼ→尿の成分である尿酸をつくる酵素
アルデヒドオキシダーゼ→人体に有害なアルデヒドを分解する酵素
亜硫酸オキシダーゼ→有害な亜硫酸イオンを毒性の低い硫酸イオンにする酵素